iPhoneが返すマイクロインタラクション
7月のPrime DayでiPhone Airを購入した。139800円、引くことのポイント還元分。前々からiPhoneを持ってみたいと思っていたこと、Pixel 9aの使用体験悪化から、iPhoneへの移行をずっと考えてはためらってきた。そんな中でiPhone 17がヨドバシなどから先行して値上がりしたが、値上がり後の価格で比較すると今回のAirのほうが安くついて、これがiPhoneを手に入れるラストチャンスかもしれないと思って、思い切って購入した。とりあえず、すでに引退させたサブスマートフォンのPovo 2.0 SIMをeSIM化して転送。先日の5G SAにまつわる騒動でも、この端末は何事もなく通過した。
私にとって初めてのiPhone所有。ファースト・インプレッションは、Androidとの差は案外大きいということ。たとえば、たぶんだけどiPhoneのキーボードは両手打ちする方が使いやすいようにできていると思う。ブラウザをFirefoxにしてもuBlock Originが使えないのは痛い。F-Droid的なものがないことも。しばらく併用してみて、それで結論を出そうと思う。Androidのほうがいいと思えば、iPhoneはリセールバリューがいいからどうとでもできる、だろう。あるいは、毎度買い替えを強いてくるApple Pencil――いま使っているものは現行のiPad ProでもAirでも使えない――、ProMotionのためにProグレードを強いてくる、そんな、不利なゲームのプレイを強いられているiPadをやめて、文字タイプ用途をiPhone Airで賄うという手も、あるのかもしれない。実際、Pencil以外は要件満たせてるわけだし。iPadでなければならない理由、Apple Pencilを最近ろくに使っていないことを考えれば、たいしてないのでは? スピーカーがモノラルであること、技術書やPDFの読書には向かないこと、LINEをサブ端末で運用することが難しいこと、外付けキーボードの扱いが異なること、くらいか。
iPadではなくiPhoneを、iPadOS端末ではなくiOS端末を、所有して感じたことの一つは、OSが返すマイクロなインタラクション。すごく細かな操作、状態の変化に対して、バイブレーションを使ったフィードバックを返してくる。気が利いていると感じる一方で、必要か? 過剰じゃないのか? ときにうざったい、とも。しかし、こういうところが、なんとなく使っていて心地よい、みたいな感覚を演出することに貢献しているのかもしれない。なんにせよ、サードパーティのアプリ開発者にまでそれを強いることができるのは、ほとんど均一なハードウェアと、ストアに出す審査権まで全部握っているAppleだからこそ、なのだろう。
それに、もし仮にそういうマイクロマネジメントがないことでアプリの開発労力が低くなるとして、じゃあAndroidのアプリがうまくいっているかというとかなり疑問だ。最新の機能が投入されるのも、デキがいいと感じるのも、iOS版の方。Androidのオープンソースという利点は、開発者やデバイスメーカにとってどうかは知らないが、少なくともユーザにとって結局はPlay Storeからアプリを落とす以上はPCほどにはうまく働かないし、F-Droidのアプリも品質は玉石混交、更に悪いことに滅びる日時が名指しされてもいる。その上で、Google純正の、いわばGoogleお墨付きのデヴァイスですら体験が悪化していくのであれば、Androidの未来はどれだけ明るいと言えるのだろうか。もちろん、それはiPhoneの未来が無条件に明るいことを意味しない。ただ、高い金を払って手に入れる実体のあるプレミアムデバイスとそのコンテンツを中心にして儲けている以上は、デヴァイスが撒き餌にすぎない広告業よりは、プラットフォームとしての未来がありそうに思えるという、うすぼんやりとした予想を私は持っている。
待っていればいいものが安く手に入る時代が終わったのだとして、金を出してもいいものが手に入るわけではない時代にこれからますますなっていくとして、これこそが幸福なN年間の終わり、その始まりに過ぎないということだろうか。