もしも時計を二本だけ持つならば

地球上の人類に限って言えば、腕の本数の最頻値は2だというのに、愚かにもそれ以上の数の腕時計を保有している人物の一人が私なのだが、もしそれを二本だけに限るのだとしたら、何を残すのかについて考えたことがある。一本でないのは、そこまで絞り込むことが不可能だったからである。

一本目:シチズンのソーラー年差クオーツ三針

地味な時計だ。正直、パッと見では一万円の時計と区別がつかない。ケースはあちこちぶつけたせいで既に傷だらけになっているから、もうリセールバリューは期待できない。これがラグジュアリーウォッチだったら卒倒ものだ。でもそれでいいのだ。フォーマルなデザイン、小さめのケースサイズで、精度が良く、電池やカレンダーで手間がかからない、保証がしっかりしていて、バンドに汎用品が使える。私にとってこれは質のいい上等な実用時計だ。だから傷だらけにしてでもガンガン使っていく。私はこの時計に大変満足している――時々夜光は欲しくなるけど。 私はこの時計を欲している。

二本目:G-SHOCKのオリジン系ソーラー電波デジタル

仕事中や運転中につけるならこの時計だ。何せ手間がない。放っておけば充電してくれるし時刻も合わせてくれる。カレンダーの調整をする必要もない。暗闇の中でも顔のほうへ向ければ自動でバックライトが点く。スマートフォンの強い磁石に近づけても時刻が狂うこともない。落下させても水に沈めてもそう壊れやしない。多数搭載された機能に用がないとしても、これほど実用的な時計が他にあるだろうか。私は小さい時計が好きだが、この程度であれば問題なく受け入れられる。個人的な意見ではスーツに組み合わせても「多少の粗忽者」程度で済むのではないかと思っている。 私はこの時計が必要だ。

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