少女漫画における主人公の能力

異世界もの少女漫画を読んでいると、世界の均衡を破壊するくらいに強い能力を与えられているものがある。そして、その極めて強力な能力を、「すごい」とほめてくれる 王子様 との関係を構築し維持するために行使する。その影響力が広がるとしても、 王子様 やその仲間たちを介する。その力を利用しようとする周囲からの 魔の手 は彼らが徹底的に排除する。

世界を変えられるほどの力を、実質的にたった一人に愛されるために使うというのは、なんとも贅沢な話だけど、そこまで言い訳を作ることなしに愛されることはない、みたいな思いを、読者たちは実感として抱いているのだろうか。

なんにせよ、少年向け、男性向け漫画に親しんでいる人間からすると、強大な能力の影響は否が応でも周囲へ波及し、その影響範囲、かかわる領域はどんどん広がっていく、というのがよくある展開に思えるので、異文化を感じる。もちろんこれは少ない標本に基づいた個人の偏見にすぎないのだが。良し悪しがどうというものではなく、どれも面白いんだけど、隔絶した世界にいる。

あとは、幼い頃から家族や身の回りに才能や有能さを利用され搾取されていたという展開も多くて、もちろん“シンデレラ”をはじめとする過去の物語の引用ではあるんだろうけど、それがここまで普遍的にウケているということは、実際にそういう待遇にいたのだと感じてきた人が多いのだろうか。

あ、あと全然話変わるけど、かわいく美麗に描かれるファンタジー調の世界で、暴力や強大な力を振るう女性が見たい! という願望を満たしてくれる作品がちょくちょくあって、これはどちらかというと男性向け作品の読み口に近いものを感じる。

Reference

どれも面白いです。

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