女性の身体
内心では、特定の政党や異性を憎悪している人が多数派である、というのはインターネットが露わにした事実のひとつだろう。
「どんなにいいアニメだろうと、女体が過剰に揺れる描写があるなら作品自体を見たくない」という意見を見て、難しいなと思った。女性の、女性の身体が性的に描写されることへの苛立ち、不快感、嫌悪や憎悪の表明を見ると、男性からは想像もできないような苦しみを日々抱いているのだろうと感じる。女性は女性の身体が煩わしいのか、それとも、女性の身体には不快な存在が寄ってくるから、いやでも嫌いにならざるをえなかったのか、どっちなんだろうな。もしかしたら、男性に欲望されずに、ずっと安全だと感じられる場所なら、女性も自分の身体を厭わないままで、ボディラインが出る服を着たり、体が揺れるさまをみても不快だとは感じないのかもしれない。だとしたらそれは悲劇だ。
そして、そういうイラストを好んでいる私は、相手が嫌がることをする絶対的な敵対者なのだろう。女性はすべての男性をうっすら嫌い。男性はすべての女性がうっすら好き……と見せかけて女嫌いの女体好きなだけ、と。世の中そういうものらしいから。
この話の延長として、胸を大きくしてほしいと自ら主張することが少なくない、女性VTuberたちの身体のことについて考えると、時々混乱する。とはいえ、「そっちの方が商業的に利益があるからだ」というのは絶対に否定できないから、そのためだと言えば説明がつくんだけど。女性VTuberの多くは、視聴者の大半を男性によって占められていて、胸や露出の大きな描写は、そのマジョリティを惹きつける。視聴者が多ければ収益性が向上する。合理的だ。
(女体って言葉、「女体盛り」を除けば女性が使うことが大半だよなと思う。男体は男でもほとんど使わない気がする。学問はここにも「男性たちは人間の身体とは男性が普通だとデフォルトで認識しているから」みたいな分析を挟むのかもしれない)