言葉遣いは難しい
Microsoft Officeに含まれるWord、Excel、Powerpointの中で使いこなすのが一番難しいのはどれかと聞かれたら、私はWordだと答えるだろう。Wordは望みの 見た目 をした文書をWYSIWYGで作るためのワープロであると同時に、構造化された書類を整った紙面として仕上げるためのオーサリングツールでもある。この 二面性 がWordを使ったドキュメントの整備を難しくする。
Wordの難しさとは後者、つまりはDTPの難しさだ。本当に Wordを使うためには、まず自分が望んでいる紙面が如何なるものかを吟味し、デザインを設定する必要がある。斜体 や 太字、異なる書体を用いる際には、ショートカットキーを押したり画面上のボタンをクリックするのではなく、スタイルを選択することによって行わなければならない。図表番号が連続する時に詰まりすぎだと感じるのであれば、空行を入れるのではなく、段落設定から行間を設定すべきなのである。ならスタイルやデザインとテキストを分離しやすいTeX
を使うべきなのでは?
しかしながら、そんなことをしても(DTPオペレータ以外)誰も金を稼げやしないのである。私たちが欲しいのは望みの 見た目 をした文書なのである。しかし、ランダムなユーザがWYSIWYGで姑息な編集を繰り返せば、最低限保証すべき 見た目 さえ統一や規則性を失い、みるも無惨な姿へと変貌してしまう。
最初からデザインをガチガチに制約して、自由度をユーザに与えない。できるのはテキストやオブジェクトを挿入するだけ。そのような文書システムが理想的なのかもしれない。整ってさえいれば、自由度はいらない。あとはすぐに見た目がプレビューできれば、それでいいのではないか。皮肉なものである。